designershome’s blog ~デザイナーズホーム~

専業主婦から不動産・建築の会社を起業したおばさんの話

悲しい隣人のお話し

長いトンネルはまだ明ける気配がありません。

考える時間が多すぎて、どうしても悲観的になってしまいます。

 

仕切り直しの「住宅の終活」については、少しのお話が頂けまして、一件は解決済。

今難儀しているのが一件、相続の問題です。

 

まあ解決したらご報告させて頂きますが、そんなつまらない日々に思い出した笑える話を書かせていただきます。

 

もう随分昔のお話しになりますが・・・。

以前住んでいた自宅の隣に、大きなアパートが建ちました。

割と辺ぴな場所で、当時「八街いちみ」と言われた悪質不動産業者に騙された間抜けな人しか住んでいない所に、アパートが出来たのです。

(当時私は専業主婦で不動産はもっぱら騙されるほうでした。)

こんな所にアパートを建てて入居の見通しも立たない事は、素人の私でもわかりましたのに・・・。

後日、ご挨拶に見えたご夫妻は ・・・何と!!!

某一流企業の航空会社の管制官でした。

国際都市の真ん中。 日本一のJ航空にお勤めのエリート中のエリートです。

 

楚々とした奥様と、人の好さそうなご主人と子供の居ないお二人暮らし。

この一室に大家としてお二人で住まわれるとのこと。

ひとまず私達一家は胸をなでおろしました。

朝は3時頃にタクシーがお迎えに来ます。

帰りも会社が差し向けたタクシーで帰ります。

そこには私の憧れ・・・夢のような生活がありました。

 

しかし、やはり想像通り。アパートは全く入居者がありません。

かなりの頭金を出して多額なローンを組んで確か8世帯ほどの部屋数で、計算通りいけばこの上がりで生活は安泰のはずでした。

 

そもそもなぜ大手企業の幹部候補の彼が こんな(言い過ぎ)所に来たのかと言うと。

職場の先輩が同じ手法で自宅兼アパートを駅近に建てたのを「いいね!」と言って褒めたら、かなり強引に進められて引くに引けなくなって。( その建築業者も又とても怪しい)

 

あれよあれよと言ううちにアパートを建てることになってしまったとか・・・。

詰まるところが・・・この周りは騙され人の集まりになってしまったのだが・・・。

 

この御仁。

頭ばかり良くても人生はままならない事を教えてくれます。

直にローンが払えなくなり、督促が山の様に来るようになって職場にも居ずらくなったようです。

奥方は間もなくひっそりと実家に帰っていきました。

離婚なさったのかと思います。

 

ある日の夕方、本家に住む高校生の甥っ子が「自転車を駅で盗まれた!」としょげ返ってきました。

生活に余裕のない甥っ子一家に取って、自転車が無くなる事は死活問題です。

兄嫁や甥っ子が無人駅の周りを探し回りましたが、もうでてきませんよね~。

後始末が悪いだの、お前の不注意だのと散々ののしられた後甥っ子は暫く歩いて駅に行く事になりました。

私は警察に届ければ出てくるかも・・・。などと言っていましたが、結局この日は悔しい思いで終わりました。

 

あくる朝、何気なくこのJ航空の御仁の自宅に目をやった私の目に飛び込んできたのは

なんと!甥っ子の自転車の様です。

恐る恐る近付いてみると、紛れもなく甥っ子の目印の自転車でした。

すぐ甥っ子に連絡して自転車を確認していると、この御仁が眠い目をこすりながら出てきました。

 

ここはもう笑うしかないのですが・・・この御仁の言い訳。

「ハハハ!  すみませんね~。お宅の自転車でしたか・・・。駅に着いたら自転車が目に入ったので、チョットお借りしてきてしまいました!」

・・・・・・自転車泥棒がお隣さんでは、警察に突き出すことも出来ず とりあえず戻ってきた自転車に一同ホッとしたものでした。

 

それから間もなくこの御仁も姿が見えなくなりました。

聞けば住宅ローンのみならず、この職場の先輩の保証人となり職場に催促の電話や嫌がらせで会社に居られなくなったのだと。

 

国立大学を卒業して、一流企業に就職し何不足のない人生を歩むはずのこの御仁。

まず友達を選ばなかった事。  楽してお金をてに入れようとしたこと。

原因は色々あるでしょうが、やっぱりこの御仁は人に嫌!と言えない人の好い所がありました。

一言で「いい人」・・・でした。

 

後日談ですが・・・。

それから 半年もたったころ・・・。

新聞に写真入りでこの御仁の行先が分かりました。

仙台で 無銭飲食で捕まったとの記事。

先輩と二人で無銭飲食を繰り返し とうとうお縄になったとか。

 

きれいな水にしか生きられない生き物でしょう。

堕ちて墜ちて、自分でお金を稼ぐ事が出来なかったのでしょう。

悲しい隣人のお話しです。