designershome’s blog ~デザイナーズホーム~

専業主婦から不動産・建築の会社を起業したおばさんの話

情けない話

今は昔   ある日・・・・。

ご夫婦でお店にやってきた このお客様。

 

聞けば 県をまたいで物件探しの旅に出ているとか・・・。

 

運よく・? 運悪く私に当たった・・・・。

風貌は ・・・ン~

かなりの大柄で 体重は100キロは下らない60歳前後の御主人。 ゴムの草履をはいていた。

奥様は 「消え入りそうな」風体で 犬の毛がそこら中付いた鼠色の毛玉だらけのパーカー。

ほとんど他人と目を合わせない。

 

それにしても良くしゃべるご主人。

要約すると

1・ 自分は三菱マテリアルの系列会社の社長である。

   金はいくらでもある。

   北海道に山ごと買い取ってここで材木を取って自社で生産 海外に販売してる。

2・色々 不動産会社を見てきたが、 人を見なりで判断するやつからは買わない。

  あんたは身なりで判断しない良い不動産屋なので あんたから買う。

3・仕事で このあたりに従業員を住まわせるのだが、

  アパートを借りているよりも 買ったほうが 早いので 即入居できる 新築住宅

  を買いたい。  

4・何度も来れないので 今日決めて 次回は現金一括で購入したい。

 

 

との仰せで・・・。

当時はまだ駆け出しの営業だった私は、 お客様の身上を疑う事など全くなくて丸々信じちゃったものだから もう大変。

張り切って、町の中心にある出来たばかりの新築住宅をご案内して、 その場で欲しいとの意思表示を頂き買付証明を頂きました。

 

ついては、 カーテンの色が気に合わない・・・とか  クロスの貼り方が気に要らないとか 。

二度目には 売主さんと直接お会いしてもらって何か細かいクレームを言っていたように思います。

2度・・・2度お会いしただけです。

 

大きなホラを吹きながら 昼ごはん迄食べて 売主さんにもお会いして・・・。

私「 お名刺いただけませんか?」

ホラふき男爵 「俺は名刺など 持ち歩かん!」

私「御社の 電話番号を」

ホラふき男爵「 俺が個人で買うのに会社の電話が何で必要なんだ!」

 

等などの問答の後に 座敷童の様な奥方の携帯電話番号のみ書き残し ほら吹き男爵夫婦は 風のように消えました。

 

契約の日程は後程知らせるので 、その日は契約後の祝賀会を 関係者を全部呼んでやるので この街一番の料亭を 予約して置いて置くように。    と言い残して。

 

売主さんは 売れ残った新築住宅を買ってくれる人が現れて すこぶるご機嫌で、やれクロスの貼り替えやら カーテンの選び直しやら 庭の草取りやら 大張り切りで約2週間の後この仕上げは完成しました。

 

後は ご本人のご登場を待つのみなのですが、 ・・・・一向に連絡がありません。

奥方の携帯に何度電話しても 留守電になるばかり・・・。

さすがに 勘の悪い私でも????  これヤバい❓

 

料亭予約しなくてよかたあ~・・・。(そこかよ!)

この県をまたいで買付の住所まで

 行ってみようと試みますが 何を調べてもそのような住宅・会社はありません。

 

仲介業者として 売主さんに何とお詫びをしたものか・・・考えあぐねていると

ある日座敷童から 一本の電話が入りました。

 

「ムニャムニャ・・・ヘチャヘチャ・・・なので・・・です。」

という内容で ぜ~んぜん意味は分かりませんでしたが  要するに身内に不幸が起きていけなくなった!・・・と要約するとそんなことの様でした。

 

三菱マテリアル?   山を所有して 材木工場?  見た目で人を判断するな?

金は山ほど?      「ふざけるな!!!!」

 

信じた私がバカなのですが 、その時あの偉そうな胸糞悪い親父の顔が目に浮かび

本当に悔しい思いをしました。

売主さんの会社の社長さんは とても温厚な方で、 お叱りを頂戴することもなく一件は終わりを告げました。ごめんなさい!

 

一つ学びました。

「人は見かけで 判断しろ!」

風格や 品格は隠せません。今なら すぐわかります。例え裸のオジサンの中から品格や風格のある人を選べ・・・。と問題が出たら 一発で当てられる自信があります。

 

これも長年人を見て来たからの結果で、その当時はまだまだ駆け出しの世間知らずのおばちゃんでした。本当に情けない話です。