この仕事を始めてから早30年になります。
本当に多くの方々と出会い一生のお付き合いをさせて頂いているお客様がほとんどですが、中には裾をまくって逃げ出したいお客様もいます。
女と一括りにすると間違いが起こります。
私も女ですが、その気性は男性に近いとされますが、この世には巧みに人を利用してのし上がっていく女(これは何人か存じ上げているが尊敬の対象)、利用されるだけの女、難癖をつけながら、当世暴力団でも使わない汚い方法で、何千円かのもうけを取ってほくそ笑んでいる怖い女(軽蔑する女)。
その他にも色んなタイプの女がいますが。
今日は後者。
怖い女についてお話ししたいと思います。
かれこれ20年前にこの腐れ縁はつながりました。
まだ勤め人だった頃の事です。
Hと言う女。 子供はなく夫婦二人暮らしで町はずれの一軒家に暮らしていました。
当時30代の中頃だと思います。
新聞に入った不動産のチラシを見て電話が鳴り 運悪く私はその担当になりました。
確か中古住宅の反響で自宅に呼ばれました。 その時は不動産の話はほんの少ししか出なくて、もっぱら彼女の宗教や、それにまつわる親戚の悪口に一時間ほど付き合わされました。
結局不動産が欲しいのか要らないのかわからないまま帰ろうとした私を、彼女は二階の衣裳部屋に否応なく招き入れました。
そこには沢山のウェディングドレスが部屋いっぱいに吊り下げられ、お色直しの衣裳迄盛沢山あります。
そこはまだ女性ですから 私も珍しくって「素敵ですね~」などと調子を合わせていました。
「今日は付き合って頂いたお礼にあなたにこのドレスを着せて写真を撮ってあげる!」
「いや~いいですよ。結構です!」
よれよれの下着を着ている私は他人の前で上着を脱ぐなどと考えも及びません。
しかし彼女は私の上着に手をかけ力任せに引き抜きます。 観念して私は営業職の身で有ながら客の家で肌着一枚にさせられてウェディングドレスを着せられてしまいました。 余りの事に脂汗が流れます。そんなにきれいなドレスではなかったけれど汗が付いたらどうしようかとハラハラです。
その後何枚ものウェディングドレスやお色直しのドレスを着せられて、写真を撮られました。
ま~プロに毛が生えたようなカメラでそれらしく撮っています。
やっと撮影会が終わり無罪放免だと思ったら私は甘い!
「ちょと~!。 これで仕事してんだからお・か・ね・!」
「は?」
結局サービスだと言って安くしてもらって3000円搾取。
????何の仕事の成果もあげられず会社に戻りました。
社長には申し訳なくて報告でできず。
その後・・・。同業の女性社長さんから。
「気を付けたほうがいいわよ! あなたの写真を見せびらかして営業掛けているわよ。」
聞けばHは不動産屋を集めて営業に来た男女問わず自分の話を聞いてもらったりお金を見せびらかしたりするのが趣味の様です。 たまたま、断れない営業が来たものだから自分の商品を売りつけたようです。
全くほんとにダメな不動産屋です。
Hとはこれに懲りて縁を切ったのですが、その後独立してから町でバッタリ再会してしまいました。
ここからが、怖い女満開です。
私が独立したことを聞きつけていたようで、今度仕事お願いね~。と猫なで声。
鳥肌が立つほど嫌で、私はあいまいな返事をしてその場から逃げます。
しかし、その後自宅のリフォームを頼みたいとの電話が入り。
ここで断れないおばちゃん不動産はいやいやながら訪問しました。
リフォームと言っても押入れの中段を外すだけの事です。
しょうがないのでこれを無料で職人を入れて、サービス仕事をしてしまいました。
そこから、職人を動かすのが気の毒な仕事を5万~10万と繰り返して発注してきます。
そのたび、呼びつけられて1時間も2時間も宗教の話、親戚の悪口・・・10年前と同じ話を聞かされます。
なんの事はない。彼女は本当に寂しがりやでした。夫は一度も会ったことはなく勤め人らしいのですが、恐らく全く妻を軽んじているようでした。
ここで終わりなら…寂しい女・・・で終了するのですが・・・。
自宅の中は至る所が 小さなリフォームされており、この仕事の各業者の評論が始まります。
そして、台風被害・義父の死亡の相続と彼女の中の事件は続き、私はそれに付き合わされる事になります。
小さなリフォームはそこに手を付けた業者の責任において、関係のない所まで修理を要求されます。
台風被害はた~んと見積りを取って保険を請求しながら、他の業者に発注します。
義父の相続は何か司法書士と揉めて多額の請求をされたとかのトラブルが発生して、急遽自分で相続をやると言い出してその書類作成の手伝いをさせられ何日か振り回され昼にハンバーガーをご馳走になりました・・・・?。
私の日当はハンバーガーです。
しかし、この相続した家のリフォームでまたもや古くなった下駄箱が壊れたのは私の職人のせいだと言い出した為、遂に私の堪忍袋が切れました。
逃げても追いかけてくる怖い女と縁を切るにははっきり伝えるしかないと。
この相続した家の賃貸の募集や管理の仕事は出来ないとハッキリ伝えました。
「工事だけ受注して、管理が出来ないんじゃ頼むんじゃなかった!」と言っていましたが、私はこれ以上責任は持てないと伝えました。
この寂しい女はどこに行っても問題を起こしていましたが、お金はその後の相続も含めて相当な額をもっていました。
誰が聞いても驚くその額は不動産屋に限らず、公表することで人は砂糖に群がる蟻の様に集まってきます。
そして、この切り札で誰でも思うようになると高を食っているのです。
Hと縁を切ったのはその中の一人と思われるのが嫌だったことも大きな原因でした。
たまに町で見かける事がありますが、いつも何人かの取り巻きがいて女王様の様に歩いています。
その後は良く知りませんが、どんなにお金があったって人の心や関心を引くことは出来ないと気が付くのでしょう。
怖い女は寂しい女でした。それだけなら友達にもなれたのに・・・・。