日々様々な出来事や出会いがあります。
今日は、20年以上前にお世話になった職場の元上司が訪ねてくれました。
その頃 私は人生の底におりました。
仔細は過去のブログでも書きましたが、どんなにあがいても抜け出せない泥沼の様な時があります。当時のこの上司との出会いは確かに人生の節目になったと思うのです。
見当違いの様な面接の場で「面白い奴だ」と言って採用してくれたこの上司。
私の建築士になりたい!・・・という何の根拠のない夢をかってくれたのです。
経験もないおばちゃんを採用するにあたっては、他の部門からもかなりの異論もあったようですが・・・。
いわば恩人と言えるこの上司。
尊敬と道しるべともなったこのNサンは何か体調が思わしく無いらしく、聞けば自宅で転倒し自宅療養の身であるとの事。
いつも軽妙な切り口で人生を語ってくれた御仁は御年76歳になったとの事。
少し心配な足取りで約束の時間を20分程遅れてやってきました。
この日の要件は、何と「息子の嫁を探してほしい・・・」というのです。
私は不動産の売り買いは仕事なのでお手の物ですが、お嫁さんを探すことはやったことがありません。
まして、Nさんの御子息の名まえやお顔も知りません。
知っているのは「公務員」であるという事だけです。
十分な財力があり、食べるに困らないこの方のたった一つの泣き所はこの一人息子の嫁。
・・・・・。「Nさん。 その昔人生を語って下さったあなたならきっとこう答えた事でしょう。」・・・
「なあ~。金や力があったところで、本人の熱量の伝わらない所で回りがいくら騒いだってそれは無理な話だ。 自分の嫁くらい自分で探せ!」・・・と
一刀両断のその語り口は、時に人生の指針ともなったこの元上司。
つくずく人間の末路を思い知りました。
財力があって、これを目の前にチラつかせれば息子の嫁など簡単に見つかると思って生きて来たのでしょうか。
年を重ね、体も思うようにはならない。
しかも死ぬような年でもなく、息子は自分の趣味に走って結婚など何の興味もない・・43歳になるというのです。
これがじんせいだな~と・・・。
結局本人の自己紹介の文面など作ってもらって、再度訪ねてもらうように話しました。
安心した様にかえって行くNさんを見ながら複雑な心境になってしまいました。
出来る事はやってみようと思っています。
多少のつてを頼って話をしてみようと思いますが、親の出来る事はここ迄です。
何を言いたいかというと・・・。
自分の事って分からないものだという事。
晩節を汚さないという事。
尊敬する元上司でいてほしかったのです。
思わぬことで覗いてしまった人間の価値観に結構落ち込んでしまった今日のわたしでした。